兵庫障害福祉施設職員暴行容疑事件
るな(仮名、当時16歳の女性職員)
2025年2月15日、兵庫県内の障害者福祉施設が主催したバレンタインイベントで、当時16歳の女性職員(遺族側代理人の取材記事では仮名「るな」さん)が、重度の知的障害がある23歳の女性利用者が他の参加者に噛みつこうとしたため、顎に手を添えて制止した。利用者にけがはなかった。女性職員は、母親が運営するこの施設で働いていた。
その場面を目撃していたという別の30代の利用者が4月1日、自身が住む加古川市の障がい者支援課に「虐待ではないか」と相談した。関係自治体を通じて利用者の両親に連絡が行き、両親が明石署に被害届を提出した。
イベントから4か月後の2025年6月17日午前7時ごろ、女性職員は明石署員に任意同行を求められ、30代の男性スタッフとともに「利用者の顎付近を複数回、手の平で押さえつけた」という暴行の被疑事実で逮捕された。女性職員は一貫して被疑事実を否認した。勾留は計18日間に及び、親との面会は完全に禁止された。勾留延長は2度認められており、遺族側代理人によれば、うち1度は担当裁判官が却下したものを検察官の準抗告により合議体が認めたという。逮捕から17日目の7月3日、収容されていた小野警察署の留置場で倒れて嘔吐し、北播磨総合医療センターに救急搬送された。ストレス性胃腸炎と診断されたが、その日のうちに留置場へ戻された。7月4日に処分保留で釈放され、7月7日に男性スタッフとともに不起訴となった。神戸地検は不起訴の理由を明らかにしておらず、弁護人が不起訴理由告知書の交付を求めたが担当検事はこれを拒否したとされる。
釈放後、女性職員は急性ストレス障害(ASD)や心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断され、摂食障害が続いた。神戸大学医学部附属病院などへの通院・入院や訪問診療による治療を受けたが改善せず、2025年12月14日、低栄養状態で死亡した。身長148センチ、体重37.5キロだった体重は、釈放翌日の計測で27.7キロになっていたとされる。
2026年、遺族は、違法な取調べ・勾留が死亡の原因であるとして、国と兵庫県に約1億900万円の損害賠償を求め神戸地方裁判所に国家賠償請求訴訟を提起した。逮捕・勾留を決定した裁判官の判断についても責任を追及するとしている。第1回口頭弁論は2026年10月21日に予定されている。同年7月31日には、遺族が明石署の警察官と神戸地検の検事の計4人を特別公務員職権濫用罪などで刑事告訴したことも明らかになった。
遺族側代理人の向井義博弁護士(大阪弁護士会)は、明石署が現場にいた職員・利用者34人(相談した利用者を除く)にまったく聞き取りをせず、知的障害のある1人の目撃証言のみで逮捕に至ったこと、逮捕前に家宅捜索や関係者からの資料収集を行っていないことを批判している。また、16歳という年齢に照らし、仮に身柄拘束の必要があったとしても保護処分を原則とする少年法の趣旨からは「勾留に代わる観護措置」による少年鑑別所への収容によるべきだったと指摘し、釈放後に家庭裁判所へ送致した形跡もないとしている。相談した利用者は後に、女性職員の母親宛てに「あごをおさえてたと言ってしまったが、じっさいはあごに手をそえていた。オーバーに言ってしまった」などとする手紙を送っていたとされる。
女性職員が残した被疑者ノートには、取調官が「本当はやったんだろう。正直に言え」などと述べたとする記録に加え、「今言ったら楽になるぞ Yは言ったぞ」と、共犯とされた男性スタッフが既に自供したとする情報を伝えられたとする記述が残されているという。
以上の経過は、遺族側の訴状および代理人弁護士の説明に基づくものであり、裁判所による事実認定・法的判断は出ていない。兵庫県警・神戸地検はいずれもコメントを拒否している。本件は、障害福祉の現場での介助・制止行為が刑事事件として立件され、16歳の女性職員が長期の身柄拘束に置かれた点で、介護・福祉の刑事化と人質司法をめぐる構造的な問題を提起している。
2025年2月15日、兵庫県内の障害者福祉施設が主催したバレンタインイベントで、当時16歳の女性職員(遺族側代理人の取材記事では仮名「るな」さん)が、重度の知的障害がある23歳の女性利用者が他の参加者に噛みつこうとしたため、顎に手を添えて制止した。利用者にけがはなかった。女性職員は、母親が運営するこの施設で働いていた。 その場面を目撃していたという別の30代の利用者が4月1日、自身が住む加古川市の障がい者支援課に「虐待ではないか」と相談した。関係自治体を通じて利用者の両親に連絡が行き、両親が明石署に被害届を提出した。 イベントから4か月後の2025年6月17日午前7時ごろ、女性職員は明石署員に任意同行を求められ、30代の男性スタッフとともに「利用者の顎付近を複数回、手の平で押さえつけた」という暴行の被疑事実で逮捕された。女性職員は一貫して被疑事実を否認した。勾留は計18日間に及び、親との面会は完全に禁止された。勾留延長は2度認められており、遺族側代理人によれば、うち1度は担当裁判官が却下したものを検察官の準抗告により合議体が認めたという。逮捕から17日目の7月3日、収容されていた小野警察署の留置場で倒れて嘔吐し、北播磨総合医療センターに救急搬送された。ストレス性胃腸炎と診断されたが、その日のうちに留置場へ戻された。7月4日に処分保留で釈放され、7月7日に男性スタッフとともに不起訴となった。神戸地検は不起訴の理由を明らかにしておらず、弁護人が不起訴理由告知書の交付を求めたが担当検事はこれを拒否したとされる。 釈放後、女性職員は急性ストレス障害(ASD)や心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断され、摂食障害が続いた。神戸大学医学部附属病院などへの通院・入院や訪問診療による治療を受けたが改善せず、2025年12月14日、低栄養状態で死亡した。身長148センチ、体重37.5キロだった体重は、釈放翌日の計測で27.7キロになっていたとされる。 2026年、遺族は、違法な取調べ・勾留が死亡の原因であるとして、国と兵庫県に約1億900万円の損害賠償を求め神戸地方裁判所に国家賠償請求訴訟を提起した。逮捕・勾留を決定した裁判官の判断についても責任を追及するとしている。第1回口頭弁論は2026年10月21日に予定されている。同年7月31日には、遺族が明石署の警察官と神戸地検の検事の計4人を特別公務員職権濫用罪などで刑事告訴したことも明らかになった。 遺族側代理人の向井義博弁護士(大阪弁護士会)は、明石署が現場にいた職員・利用者34人(相談した利用者を除く)にまったく聞き取りをせず、知的障害のある1人の目撃証言のみで逮捕に至ったこと、逮捕前に家宅捜索や関係者からの資料収集を行っていないことを批判している。また、16歳という年齢に照らし、仮に身柄拘束の必要があったとしても保護処分を原則とする少年法の趣旨からは「勾留に代わる観護措置」による少年鑑別所への収容によるべきだったと指摘し、釈放後に家庭裁判所へ送致した形跡もないとしている。相談した利用者は後に、女性職員の母親宛てに「あごをおさえてたと言ってしまったが、じっさいはあごに手をそえていた。オーバーに言ってしまった」などとする手紙を送っていたとされる。 女性職員が残した被疑者ノートには、取調官が「本当はやったんだろう。正直に言え」などと述べたとする記録に加え、「今言ったら楽になるぞ Yは言ったぞ」と、共犯とされた男性スタッフが既に自供したとする情報を伝えられたとする記述が残されているという。 以上の経過は、遺族側の訴状および代理人弁護士の説明に基づくものであり、裁判所による事実認定・法的判断は出ていない。兵庫県警・神戸地検はいずれもコメントを拒否している。本件は、障害福祉の現場での介助・制止行為が刑事事件として立件され、16歳の女性職員が長期の身柄拘束に置かれた点で、介護・福祉の刑事化と人質司法をめぐる構造的な問題を提起している。
- 事件発生
- 2025年
- 被告人
- るな(仮名、当時16歳の女性職員)
- 判決
- 暴行容疑で逮捕・勾留(計18日間・接見禁止)→ 処分保留で釈放 → 不起訴(理由非開示)。刑事公判には至らず。
- 現在のステータス
- 不起訴
- 冤罪の原因
- 見込み捜査、人質司法、自白強要
タイムライン
障害者福祉施設のイベント中、女性職員が利用者のあごに手を添える行為があり、目撃した別の利用者が虐待として自治体に申告。利用者の親が被害届を提出した。女性職員は、利用者が別の人にかみつこうとしたのを止めただけだと説明したとされる。
その場面を目撃していたという30代の別の利用者が、自身が住む加古川市の障がい者支援課に「虐待ではないか」と相談した。関係自治体を通じて4月9日・10日に利用者の両親へ連絡が行き、両親が明石署に被害届を提出した。
午前7時ごろ、明石署員に任意同行を求められ、30代の男性スタッフとの共謀で利用者の顎付近を複数回押さえつけたとする暴行容疑で逮捕された。本人は一貫して否認。勾留は計18日間に及び、親との面会は完全に禁止された。勾留延長は2度認められ、うち1度は担当裁判官が却下したものを検察官の準抗告により合議体が認めたとされる。
逮捕から17日目、収容されていた小野警察署の留置場で倒れて嘔吐し、北播磨総合医療センターに救急搬送された。ストレス性胃腸炎と診断されたが、その日のうちに留置場へ戻された。
処分保留で釈放された。
神戸地検が女性職員と男性従業員を不起訴とした。検察は不起訴の理由を開示していない。
釈放後も急性ストレス障害・PTSDと診断され、摂食障害が続いた。神戸大学医学部附属病院などへの通院・入院や訪問診療による治療を受けたが改善せず、低栄養状態で死亡した。身長148センチ、体重37.5キロだった体重は、釈放翌日の計測で27.7キロになっていたとされる。
遺族が、違法な捜査・勾留が精神疾患と死亡を招いたとして、国と兵庫県に約1億900万円の損害賠償を求める国家賠償請求訴訟を神戸地裁に提起した。逮捕・勾留を決定した裁判官の判断についても責任を追及するとしている。第1回口頭弁論は2026年10月21日に予定されている。
女性職員の母が、明石署の警察官と神戸地検の検事の計4人が職権を乱用して逮捕・勾留し、PTSDなどを発症させ死亡させたとして、特別公務員職権濫用罪などで刑事告訴したことが判明した。告訴状によれば、4人は共謀し必要性がないことを認識しながら18日間逮捕・勾留し、自白を誘導する取り調べを行い、体調不良の訴えにもかかわらず医療措置を取らなかったとしている。母親は「事件の真実と向き合い、公平な目で事実を見ていただきたい」とコメントした。