菊池事件
藤本 松夫(ふじもと まつお)
1951年、熊本県菊池郡でハンセン病患者の藤本松夫が、村役場職員宅にダイナマイトを投げ込んだ殺人未遂の容疑(第1事件)で逮捕された。翌1952年には第1事件の被害者が殺害され(第2事件)、逃走中に逮捕された藤本が殺人罪に問われた。審理はハンセン病を理由に菊池恵楓園内に設けられた「特別法廷」で非公開に行われ、1957年に死刑が確定、再審請求中の1962年に執行された。
2016年4月、最高裁は事務総局の調査に基づき、ハンセン病患者の特別法廷が裁判所法に違反していたことを認めて謝罪した。2020年2月には熊本地裁が、特別法廷での審理は憲法13条・14条1項に違反すると判断し(国賠請求自体は棄却、原告が控訴せず確定)、2026年1月には遺族らによる第4次再審請求について、憲法14条1項違反を認定しながらも証拠に変動がないとして棄却された。差別と冤罪が交差する事件である。
1951年、熊本県菊池郡でハンセン病患者の藤本松夫が、村役場職員宅にダイナマイトを投げ込んだ殺人未遂の容疑(第1事件)で逮捕された。翌1952年には第1事件の被害者が殺害され(第2事件)、逃走中に逮捕された藤本が殺人罪に問われた。審理はハンセン病を理由に菊池恵楓園内に設けられた「特別法廷」で非公開に行われ、1957年に死刑が確定、再審請求中の1962年に執行された。 2016年4月、最高裁は事務総局の調査に基づき、ハンセン病患者の特別法廷が裁判所法に違反していたことを認めて謝罪した。2020年2月には熊本地裁が、特別法廷での審理は憲法13条・14条1項に違反すると判断し(国賠請求自体は棄却、原告が控訴せず確定)、2026年1月には遺族らによる第4次再審請求について、憲法14条1項違反を認定しながらも証拠に変動がないとして棄却された。差別と冤罪が交差する事件である。
- 事件発生
- 1951年
- 被告人
- 藤本 松夫(ふじもと まつお)
- 判決
- 死刑(執行済)
- 現在のステータス
- 冤罪の疑い
- 冤罪の原因
- 差別、自白強要、客観的証拠の欠如
タイムライン
1951年8月1日、熊本県菊池郡の村役場職員宅にダイナマイトが投げ込まれる事件(第1事件)が発生した。殺人未遂・火薬類取締法違反として扱われた
第1事件の容疑でハンセン病患者の藤本松夫が逮捕された。審理は熊本地裁が菊池恵楓園内に設けた出張法廷(特別法廷)で行われた
1952年6月9日、熊本地裁が殺人未遂と火薬類取締法違反で懲役10年の有罪判決を言い渡した。藤本はこの後に逃走した
7月7日、菊池恵楓園内で看守が殺害される
7月13日、逃走中の藤本松夫が逮捕
1953年8月29日、熊本地裁が第2事件について死刑を宣告した
1953年9月15日、最高裁が第1事件の上告を棄却し、懲役10年が確定した
1957年8月23日、最高裁が上告を棄却し死刑が確定した。全審級が「特別法廷」で行われた
1962年9月14日午後、死刑が執行された。再審請求中の執行だった
最高裁の今崎幸彦事務総長が記者会見し、ハンセン病患者の「特別法廷」について事務手続きが裁判所法違反であったことを認め「誤った特別法廷の運用が差別を助長し、患者の人格と尊厳を傷つけたことを深くおわびする」と謝罪。最高裁が過去の手続きを検証して謝罪するのは極めて異例。同日の調査報告書では、ハンセン病が遅くとも1960年以降は確実に治る病気になっており、合理性を欠く差別的扱いだったと認定。ただし憲法の裁判公開原則違反は「疑い」に留め、憲法違反は断定せず。同日付で裁判官会議も談話を発表
熊本地裁が「特別法廷での審理は人格権を侵害し、患者であることを理由とした不合理な差別で憲法13条・14条1項に違反し、裁判公開を定める37条1項・82条1項にも違反する疑いがある」と判断。原告(元患者ら)の国賠請求自体は棄却されたが、控訴なく違憲判断は確定。原告が控訴せず、この判決は2020年3月に確定した
遺族らが第4次再審請求を申立て
熊本地裁(中田幹人裁判長)が第4次再審請求を棄却。特別法廷の裁判について憲法14条1項(法の下の平等)違反は認定したものの、有罪判決の証拠に変動なしとして棄却
参考リンク
参考文献
湖東記念病院事件の再審無罪確定を巻頭特集。あずみの里事件・袴田事件・SBS事件・今市事件・乳腺外科医事件など通常審の注目事件も収録。燦燈出版。
Amazonで見る ↗袴田事件の再審開始決定と日野町事件を巻頭特集。鶴見事件・福井女子中学生殺人事件・今西事件・菊池事件・講談社元社員事件・弘前大学教授夫人殺し事件なども収録。燦燈出版。
Amazonで見る ↗ルポライター鎌田慧による冤罪事件の追跡ルポルタージュ集。鎌田慧セレクション第1巻。財田川事件の『死刑台からの生還』、狭山事件、袴田事件、福岡事件、三鷹事件、菊池事件などの論考を再編集して収録。冤罪という権力犯罪の追及と雪冤運動との同伴を鎌田のライフワークとして位置づける。出版社は皓星社。
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